動物由来感染症

 動物から人へ感染する病気は多く、その中には犬や猫から感染するものもあります。
 動物を飼育する場合は、これらの病気について正しい知識を身につけ、飼育管理をきちんと行う必要があります。どの病気もきちんと対策すれば、むやみに恐れる必要はありません。

気を付けたいこと

飼育環境を清潔に
糞や尿の始末をしましょう。小屋やケージ等の掃除をこまめに行いましょう。掃除の際はマスクを着けるなどして、埃等を吸い込まないように注意しましょう。
動物とのふれあいは節度を持って
口移しで餌を与えたり、同じ布団で寝たりすることは避けましょう。また、動物と触れ合った後は必ず手を洗いましょう。
病気について知ろう
自分が飼育している動物から感染する可能性のある病気について、知識を持つようにしましょう。正しい予防方法が分かります。
また、万一感染した場合にも、病院で動物との接触状況を告げられるため、速やかに診断や治療を行うことができます。
動物の健康管理をしっかりと
定期的に健康診断を受けましょう。またノミやダニの予防やワクチン接種を行いましょう。
飼育している動物の体調が悪くなったら、かかりつけの動物病院を受診しましょう。

鳥インフルエンザについて

                                 ▶参考:農林水産省 鳥インフルエンザについて知りたい方へ
<鳥インフルエンザとは>
 鳥インフルエンザは、A型インフルエンザウイルスが引き起こす鳥の病気です。鳥に感染するA型インフルエンザウイルスをまとめて鳥インフルエンザウイルスといいます。
 家畜伝染病予防法では、鳥インフルエンザを家きん(ニワトリ、七面鳥等)に対する病原性やウイルスの型によって、「高病原性鳥インフルエンザ」、「低病原性鳥インフルエンザ」などに区別しています。
 家きんで高病原性鳥インフルエンザが発生すると、その多くが死んでしまいます。一方、家きんで低病原性鳥インフルエンザが発生すると、症状が出ない場合もあれば、咳や粗い呼吸などの軽い呼吸器症状が出たり産卵率が下がったりする場合もあります。 

<ペットとして鳥類を飼育されている方へ>
 国内で鳥インフルエンザが発生していても、直ちに家庭等で飼育している鳥が感染するということはありません。ケージ等の定期的な清掃と消毒を心がけてください。
 野鳥との接触を防ぐため、ベランダや庭に出さないようにしましょう。屋外で飼育している場合は防鳥ネットや柵等を利用してください。
 鳥の世話をする前後には手洗いと消毒、うがいを行ってください。
 飼育中の鳥を屋外に放したり、処分するようなことはせず、冷静に対応するようお願いします。

<弱っている、また死んでいる野鳥を見つけた場合>
 野鳥は餌不足や環境の変化、病気など、様々な理由で衰弱、死亡します。
 野鳥が弱っている、死んでいるからといって直ちに鳥インフルエンザを疑う必要はありませんが、兵庫県内の各県民局農林振興事務所が対応していますので、そちらにご相談ください。

<ペットショップ等を営む方へ>
 鳥を扱う施設の清掃や消毒をこまめに行い、施設内を常に衛生的に保つよう心がけてください。また、作業後には手洗いと消毒、うがいを実施し、健康管理に注意してください。
 鳥かご、防鳥ネット、柵などを利用し、飼育している鳥と野鳥とが接触しないよう対策してください。
 鳥の死亡数が急に増えるといった異常を認めた場合は、速やかにかかりつけの獣医師や動物愛護センターへ連絡してください。

 ▶高病原性鳥インフルエンザに関する情報(リンク:兵庫県HP)

 ▶鳥類を扱う事業者の方へ

オウム病について

                                           ▶参考:厚生労働省 オウム病について
<オウム病とは>
 オウム病はクラミジアを病原体とする感染症で、オウム以外にもインコやドバトなど様々な鳥類が感染します。
 人への感染は、この病気に罹った鳥類の排泄物や分泌物に含まれる病原体を吸入することによる経気道感染が最も多く、餌の口移しや咬まれることによっても起こります。
 人での症状は風邪程度の軽いものから重度の全身症状を示すものまで様々ですが、肺炎を主体とするものが多いです。テトラサイクリン系の抗生物質が有効です。

<ペットとして鳥類を飼育されている方へ>
 飼っている鳥の世話をするときは、風通しの良い場所で行う、マスクを着けるなどし、排泄物や羽毛の埃などを吸い込まないよう注意しましょう。また作業後には、手洗いと消毒、うがいを行ってください。
 飼っている鳥へ口移しで餌を与えるといった濃厚な接触は避けましょう。また風邪等で病院を受診する際は、鳥を飼っていることを医師に告げてください。

猫ひっかき病について

                                      ▶参考:厚生労働省 動物由来感染症ハンドブック
<猫ひっかき病とは>
 猫ひっかき病は猫に引っ掻かれたり咬まれたりして起こる病気で、バルトネラ属の細菌が原因です。
 猫はこの細菌に感染しても通常症状を示さず、猫同士の接触やネコノミにより猫の間で広がります。
 人への感染は猫に咬まれる、引っ掻かれる、ネコノミに咬まれる等により起こります。症状としては、感染してから1週間前後で受傷部の丘疹・水疱、発熱を示します。その後、傷口の上位のリンパ節が痛みを伴って腫脹します。通常、予後は良好で、症状が数週間~数か月継続するものの、自然治癒します。

<猫を飼育されている方へ>
 飼い猫と感染猫との接触を防ぐため、猫をなるべく屋内で飼育しましょう。また、定期的にノミの予防を実施しましょう。
 猫に咬まれたり引っ掻かれた傷の治りが悪い場合は、病院で診察を受けてください。その際、猫を飼っていることを告げてください。

狂犬病について

                                           ▶参考:厚生労働省 狂犬病について
<狂犬病とは>
 狂犬病は狂犬病ウイルスを病原体とする感染症で、全ての哺乳類に広く感染します。日本、オーストラリア等僅かな国・地域を除くほぼ全世界で発生しており、年間5万人以上の方が亡くなっています。
 感染した動物の唾液中にウイルスが含まれており、これに咬まれる等することで傷口から感染します。
【人の症状】
 潜伏期間:1~3か月程度
 症状:
    ○前駆期:発熱、食欲不振、咬傷部位の痛みや掻痒感
    ○急性神経症状期:不安感、恐水及び恐風症状、興奮性、麻痺、幻覚、精神錯乱などの神経症状
    ○昏睡期:昏睡(呼吸障害によりほぼ100%が死亡)
 治療:発症後の有効な治療法はない。
 予防:罹患動物に咬まれた場合、狂犬病(暴露後)ワクチン接種等により行う。
    海外の狂犬病発生国で頻繁に動物に接する場合には、渡航前に狂犬病ワクチンを接種しておくことが望ましい。
【犬の症状】
 潜伏期間:2週間~2か月程度
 症状:○前駆期:性格の変化と行動の異常
    ○狂躁期:興奮状態(無目的な徘徊、目に入るものを頻繁に咬む)、光や音の突然刺激に対する過敏な反応
    ○麻痺期:全身の麻痺症状による歩行不能、咀嚼筋の麻痺による下顎下垂と嚥下困難、舌を口外に垂らしながら流涎、
         昏睡状態になり死亡
         ※狂躁期と麻痺期を明確に分けることは困難なことが多く、前駆期から麻痺期に移行することもある。
 治療:治療はしない。
 予防:年1回の予防接種が義務づけられている。

 ▶厚生労働省 狂犬病Q&A

<犬を飼育されている方へ>
 狂犬病は全ての哺乳類に感染しますが、まん延の原因となる動物は限られており、アジア地域等、狂犬病の流行国では、犬が主なまん延源となっています。従って、飼い犬に狂犬病の予防注射を接種することで犬でのまん延が予防され、人への被害を防ぐことができ、日本でも万が一狂犬病が侵入した場合に備えて、飼い犬への狂犬病予防注射を義務づけています。
 犬を飼う人の義務ですので、住んでいる市町村への飼い犬の登録と、毎年1回、必ず飼い犬に狂犬病の予防注射を受けさせましょう。

SFTSについて

                                        ▶参考:厚生労働省 重症熱性血小板減少症候群
<SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは>
 2011年に中国から報告された新しい感染症です。病原体であるSFTSウイルスを保有するマダニに咬まれる、感染した動物の血液や唾液に接触する等により感染します。国内での患者の発生は西日本が中心ですが、ウイルス自体は北海道を含む国内の広い地域で発生しています。
 人の潜伏期間は1~2週間程度で、主な症状としては発熱、消化器症状(嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、下血)、リンパ節の腫脹等が挙げられます。血液検査で血小板数や白血球数の減少等が見られます。致死率は人で10~30%であり、有効なやワクチンや治療法はありません。
 犬や猫がSFTSウイルスに感染すると人と類似の症状を呈することがあります。SFTSウイルスに感染し、発症している動物の血液などの体液に直接触れた場合、SFTSウイルスに感染する可能性があります。実際に,ネコに咬まれたことが原因でSFTSウイルスに感染した事例が報告されています。ただし、健康なネコやイヌ,屋内のみで飼育されているネコやイヌからヒトがSFTSウイルスに感染した事例はこれまでに報告がありません。

<動物(犬や猫)を飼育されている方へ>
 犬や猫がマダニに咬まれないよう、猫は完全屋内飼育、犬も極力屋内で飼育し、犬猫ともに定期的にダニ予防を実施してください。
 犬の散歩に行く際は、草むらや藪など、マダニが多く生息する場所に入らないようにしましょう。
 また体調の悪い動物との過度な接触は避け、速やかに動物病院を受診してください。

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