繁殖制限について

 犬や猫の幸せを保てるよう、数が多くなりすぎないように繁殖をコントロールするのは、飼い主の義務であり責任です。
 犬や猫は本能で繁殖するだけで、自分で数をコントロールすることはできません。
 本当に犬や猫を愛しているのなら、安易に生ませたり、繁殖を放置してはいけません。

出典:「ふやさないのも愛」(環境省リーフレット)より一部抜粋

世話ができる数以上の動物をかかえると、動物も人も不幸に

きちんと世話ができる数以上の動物をかかえてしまうと、動物も人も不幸にしてしまいます

 犬も猫も、オスとメスがいれば本能に従って繁殖します。放置しておくと、発情のたびに妊娠・出産を繰り返し、増えることになります。過密な環境は、それだけで動物にとって強いストレスになるだけでなく、適切な世話が行き届かず、糞尿などの汚物が放置され、衛生状態は悪化し、病気も発生しやすく発見も遅れます。人と動物の共通感染症の発生のおそれもあり、悪臭や異常な鳴き声などで周囲の環境を悪化させて、近隣住民にも大きな迷惑になります。
 飼い主本人やその家族にとっても、時間的、経済的負担は大きく、生活の質は悪化します。
 多すぎる動物を抱えることは、動物を苦しめ、自身の生活も破壊し・・・動物も人も不幸にしてしまうのです。

犬の繁殖

繁殖回数:1~2回/年

繁殖頭数:5~10頭/回(犬種や体の大きさによる)

メスの犬は、季節に関係なく6~8か月間隔で発情し、年1~2回出産します(1年に1回だけ発情する犬種もいる)。オスの犬は決まった発情期はなく、発情したメスがいればいつでも交尾できます。
犬はオスもメスも生後6~9か月で繁殖できる体に成長し、発情していれば親子や兄弟でも交尾します。まだ子どもだと油断していると気が付けば子犬が生まれた!ということになります。避妊・去勢手術は早めにしましょう。

猫の繁殖

繁殖回数:2~3回/年

繁殖頭数:4~8頭/回

猫は、日が長くなると繁殖する季節繁殖動物です。栄養が足りていると、年に何回も出産は可能です。また、交尾すれば高い確率で妊娠するため(交尾排卵)、繁殖効率がとても高い動物です(計算上は、1頭のメス猫が1年で20頭、2年で80頭以上に増えることが可能です)。
メスの子猫は、生後4~12か月で繁殖できるようになります。まだ子どもだと油断していると、親子や兄弟でも交尾するため、気が付けば子猫が生まれて慌てることになりかねません。避妊手術は早めにしましょう。オスの子猫は生後8か月~12か月で交尾可能になりますので、去勢手術も早めにしましょう。

避妊・去勢手術

 望まない繁殖を防ぐ、最も確実な方法は避妊・去勢手術です。避妊・去勢手術には利点と欠点がありますが、他に繁殖を防ぐ確実な方法がとれないのなら行うべきでしょう。
 犬や猫の避妊・去勢手術の時期は、生後6か月以降と言われていますが、かかりつけの獣医の先生と相談して行ってください。
 最初の発情(繁殖シーズン)の前にすると、病気など様々なリスクを軽減することができます。

※犬猫以外の動物にも避妊・去勢手術の適期があります。かかりつけの獣医の先生と相談して行ってください。

  メスの避妊手術(卵巣と子宮の除去) オスの去勢手術(精巣の除去)
利点 〇望まない妊娠がなくなる
〇卵巣、子宮の病気のリスクがなくなる
〇性ホルモンに関係する乳腺腫瘍などの病気のリスクが低くなる
〇以下のような発情期特有の困った行動がなくなる
 ▶犬:出血で部屋を汚す/外に出たがる/
    飼い主の言うことを聞かない など
 ▶猫:大きな鳴き声/トイレ以外での排尿/
    外に出たがる など
〇様々なリスクが軽減することにより、寿命が延びる
〇望まない交尾がなくなる
〇精巣の病気や前立腺肥大(犬)のリスクがなくなる
〇性ホルモンに関係する肛門嚢腫(犬)等の病気のリスクが低くなる
〇メスへの興味によるストレスが軽くなる
〇オス同士の競争による攻撃性が低下する
〇猫エイズなどケンカや交尾で感染する病気のリスクが低くなる
〇以下のような発情期特有の困った行動がなくなる
 ▶猫:大きな鳴き声/マーキング/外に出たがる/
    ケンカ など
〇様々なリスクが軽減することにより、寿命が延びる
欠点 〇手術の麻酔のリスクがある(適切な麻酔管理で軽減できる)
〇肥満傾向になる(適切な栄養管理で防げる)
〇犬では尿失禁の発生率があがる(薬で治療できる)
〇手術の麻酔のリスクがある(適切な麻酔管理で軽減できる)
〇肥満傾向になる(適切な栄養管理で防げる)